去る日曜日。風にほんのりと冷気が混じり、どこか秋のような感じのする美山。
こんな気持ちの良い休日は、何かと来客が多くなります。
風に身を任せてまどろむお客さんに混じり、颯爽とバイクで現れた里山舍の水車事業の恩師、伏見工業高校のA先生。
今回の来訪には素敵な報告がありました。先生の指導する学生さんたちが、らせん型水力発電機の取り組みで、コカ・コーラ株式会社の環境教育賞の大賞を受賞されたと!
里山舍でも取り入れさせて頂いたA先生のらせん型水力発電機の思想は、そこにある既存の水の流れ、そのありのままをの環境から、創意工夫と知恵を絞って最大限のエネルギーを取り出そうというもの。無理はしない、不足しているものを持って来るということはしない。江戸時代の暮らしのように、ですね。四字熟語でいうなら吾唯足知です。
無理はしないけど、とことんまで楽しむ。
流れる水を如何にエネルギーに変換するか。追求していくのがとても面白いのです。
そして、その楽しみと、発電された電気を使って、人と自然、人と人をつなぎ、地域を活性化させる新しい価値を生み出して行きたい。
A先生との話はいつも、里山舍に元気をくれます。
里山舍の水車ビアンコ・スパイラル―白黒になってパンダ・スパイラルになっていましたが、さらなる羽根の付け替えで完全な黒となり、もはやネロ(イタ語で黒)・スパイラルとなりました。(パトラッシュはいません。)
熱心に興味を示してくれるお客さんに回っている姿を見せるため、A先生や行きずりのお客さんもがっつり巻き込んで、わいわいやりつつ水路に設置。
まだ駆動部が調子が悪いため、発電は出来ていませんが、しばらく陸に上がったままだったらせん水車が今は勢いよく回っています。
これは近日中に調整予定ですので、見に来られる方、しばし、お許し下さい。
水路を遡上
さて、これは水曜日の事ですが、水車の浸かる農業用水路を遡上し、取水口まで歩いてきました。
集落の人々によって維持されている水路は、由良川から岩盤を掘って取水し、緩やかな勾配で水を引きながら集落に水を送っています。
遡上すると、水路の隣を走る川が、すごく下にあったのにどんどん隣に見えて来て、この勾配の妙を実感できます。
そんな水路歩きの風景を、ちょっとご紹介。
歩いていると、くるくると景色が変わるのが面白いです。手前に山並み、眼下に渓流。足下にはコケとか、砂利とか、下草とか…水路も、石垣があったり、歩道と段差が出来たり。足場は悪いのですが、ちょっとした冒険気分です。
集落の人がきっちり当番しています。こんな昔ながらの趣の当番表、なかなか最近では見ませんね!
由良川との高低差がなくなり、取水口に近くなると、鮎釣りの方がチラホラと見えて来ます。
取水口となりの水門からの流れ。勢いが良く、発電すれば推定50kWは得られるとか。
轟音を聞きながら、量を増した途端に水は恐ろしくなるという事を実感します。
帰り道の遠景。美山の命そのもの、由良川、別名美山川。鮎釣りや川遊びが楽しめる夏は、その恩恵がとても親しみを持って感じられます。
以上、この道を歩くウォークは秋に開催予定。またお知らせします!
そうそう、週末には、美山町のおとなり、日吉町の日吉ダムで行われたアートのプロジェクト「あかりがつなぐ記憶」がありました。
桂川流域の治水と、京阪神地域への給水のため、14年前に竣工した日吉ダム。そのダム湖に沈んだ集落の、家屋や学校などの位置を照明で示し、かつての姿を浮かび上がらせながら、過去・現在・未来をつなぐという壮大な試み。
里山舍スタッフも、カフェ営業終了後、始めて行ってみました。
深夜、ダムに静かに浮かぶ光のつくる風景を眺めながら、なんともいえない気持ちになりました。かつての集落を知っているわけではないのだけど、その頃の息吹が少し甦ったようで…。生き生きとして、というより、鎮魂歌のような。でも、青い光のせいかな、とてもクリアで、ライトな…非現実的な雰囲気でした。
写真がきれいにとれないもので、ここにはアップしませんが、来年の開催の際には是非とも足を運んでみて下さい。味わい深いものがあります。
感覚的な体験とは別に、このダムに込められた「広域の問題」と「場所の運命」に思いが巡りました。先祖代々の土地を離れなくてはならなくなった人達には、そのダムの恩恵は関係ない。これは、現在の米軍基地や原発、廃棄物処理場の問題の根底にもある、公共の利益に押しつぶされてしまう「私」の幸福という構図。
簡単に発言できないことではあるけれど、とことんまでつきつめて検討すれば、公益と言われていることはほとんど必要ない、と思っています。
持続可能な世界をつくるのは、小さな幸福の連結。
昔の日本人が知っていた、吾唯足知…
おっと。大切なことを忘れてた。
8月19日には、ロケットストーブ体験会があります。お子さんの夏休みの工作に、是非どうぞ!お料理好きなお母さんなら、日常的に使えば、ガス代が感動的に減りますよ。ご質問は、お気軽に里山舍まで☆
先日、園部の軽トラ市でご一緒した山下石油さんからペール缶のご提供を頂きました。ありがとうございました!