第2回も好評のうちに終わったMIYAMA森の湯治場、第3回目は庖丁の伝道師、廣瀬氏を迎えた里山クッキング③「美味がうまれる庖丁のお手入れ法」。道具の守りと料理に必要な「感性と感覚」から「養生」の考え方を掘り下げるという試みです。午後はおなじみ伊藤先生のからだづくり講座②「からだをゆるめる」。寒さが身にしみてきた秋、ちぢこまり硬く悪い状態になってしまいがちなからだを適度にゆるめる方法を様々な角度から学びます。

風が強く肌寒い天気となった当日、新しい薪ストーブを火入れしたばかりの美山里山舎の中は逆に暑いんではないかと思うほどです。おなじみ伊藤先生による「養生ことはじめ」から1日がスタート。本企画の目的や養生の考え方について丁寧に説明したあと、参加者みなさんの健康チェック。

そして本日の講師、廣瀬さんの登場です。庖丁に対する深い知識と情熱を持っている廣瀬さん。日本には地金と鋼を合わせて鍛錬する世界的に特殊で質の高い刃物の文化があり、その中で庖丁はもっとも日常生活に近い刃物といえますが、近年、この庖丁への日本人の意識がとても低くなってきている、というところから話が始まりました。刃物は消耗する道具なので使ったあとに汚れを落とす、定期的に研ぐ、といった手入れが非常に大切。しかし、現在は庖丁の手入れは一般的ではなくなってしまったそうです。(かくいう私も、全くしていない人!)実際、現代の庖丁はセラミックやステンレス一体型など道具そのものが手入れを必要としない素材へと変化したり、ひどい場合は100円ショップで使い捨てのような安い庖丁も手に入れることができます。以前の私たちは日々道具の守りをしながら感性と感覚を養い、またその行為には道具と調理される食材への礼の心が込められていたのです。それとともに感性・感覚・礼の気持ちも薄れていってしまっているといえます。

そのような話の後、早速、実際に研ぎのお手本を見せてもらうことに。今回は、現代もっとも一般的に使われている両馬の万能包丁を使いました。少しずつ研ぎながら、刃先を確かめる廣瀬さん。ちゃんと研がれた刃先には、研いだ面の裏側に「刃がえり」=バリが出るので、触りながら確かめます。研ぎつづけると研ぎ汁が出てきますが、この研ぎ汁によって刃が研がれるので、水を適度に加えて一定の濃さに保つ必要があります。なるほど、これは指先の感覚が非常に大事だということがわかります。


次に、廣瀬さんの手により手入れされたよく切れる庖丁と放置されつづけて全く切れなくなった庖丁、ふたつの庖丁で野菜を切ってサラダをつくり、味の違いを見てみることにしました。参加の島女子会から提供された採れたてのキャベツとダイコンを筆頭に、ハクサイや水菜、里山舎でできたマコモなど野菜がたっぷり。実際に刃を入れてみた参加者のみなさん、その違いにびっくり!そして実際に断面に現れたその違いにも、またびっくり!「研いだ庖丁で切った大根は断面がつるっと光っている!」切りながら口に含んでみましたが、研いだ庖丁の方がなめらかで美味しい・・・!なるほど、切れ味はまさに味覚と一体なわけです。きっとお刺身などだと、もっとその違いがわかるのでしょうね!


そんな2つのサラダをサイドディッシュにして、本日のメニューは美山の野菜がどっさりと入った具だくさんのおでんとサツマイモご飯です。毎度ながら滋味あふれるご飯に、みなさん心底癒されたようです。

午後はからだづくり講座②「からだをゆるめる」。放置しておけば病気に発展する可能性を秘めている体の硬さ。体が硬い原因のほとんどは生活習慣や食習慣ですが、秋冬は寒さも体を硬くする原因となるため、日頃から気をつけて体をゆるめて柔らかくしておく心がけが必要です。体をゆるめるには、ストレッチや筋肉トレーニング、マッサージ、鍼灸のほか、体を温めたり安眠を心がけたり、食生活を見直したりとまた様々な方法があり、それらを適切に組み合わせていくことが大事です。

まずはポージングから。自分の体の硬さをまず確かめてみて、それから体をゆるめる方法として体を温める方法やストレッチを実践。ストレッチは、森林ゲルまで歩いていき、森の清涼な空気を吸いながら・・・でもこの日はちょっと風が寒い!!あまり長居はせずに、森を出ました。道中、山に生えているヒノキやスギを見上げながら爽やかな匂いを楽しみましたが、森の樹木はストレスを緩和する物質をだしているので森の中をあるくことだけでも体がゆるむそうです。


部屋に戻ってくると、体を温める飲み物として民間療法的に親しまれている飲み物「梅醤番茶」が出されました。梅干しと少量の醤油、番茶を合わせたものです。体を柔らかくするには、体の酸化を抑えることが大事。ですから、アルカリ性の梅干や酢の入った飲み物をストレッチの後などに飲むと効果があるとのこと。その他にも、体をゆるめる効果のある食べ物についてや、疲れを取り筋肉の硬さを除く「睡眠」をいかにしっかりとるかなどの話をいただいたあと、しっかり体が柔らかくなったかどうかをポージングで確認!結果としてみなさんちゃんと体がゆるんだようです!

最後に、血圧・体温・感情などの健康チェックを行い、みなさんと1日の成果をふりかえりました。ほぼ全ての人にリラックス効果がみられ、またたくさんの気づきがあったことを確認しました。冬に向かってどんどん寒くなりますが、この1日で学んだことを生かして乗り切れそうですね!

学びプログラムが終わったあとは、おきがる鍼灸が大人気。30分の癒しの時間を堪能。。。待ち時間には先生方との個別トークも。実は、こういう時間が一番濃かったりするのですよね。みなさん気持ちもゆったりして、話にも花が咲き、解散もゆるゆるとした1日でございました〜☆さて、次回も楽しみです!