まだまださむーい2月末、冬場は鹿猟も活発におこなれている頃で、美山でも猟師さんの家の近くの水路に仕留められた鹿さんが横たわって水洗い&冷やされている姿を散見します。
新鮮な捌きたての美味しい鹿肉を手軽に味わえるということは、田舎暮らしの特権のひとつ。
もちろん、猟師さんの資格を取り、罠や銃を使って鹿を獲り、捌く過程がなければ美味しい鹿肉は食べられません。それは牛肉も鶏肉も同じことで、かならず命をいただき、生きていた姿から私たちのよく知る「お肉」にする人がいるわけです。
森の湯治場第8回目は、そのような「食べること」に関する根源的な意味もかみしめながら、「鹿肉さばき」を行いました。
講師を務めてくれたのは、猟師になりたくて美山に移住をしたという、新人わな猟師の細見さん。ベテラン猟師さんのもとで修業をしながら、鹿肉の処理や調理の研究、普及促進に日々がんばっておられます。当日は後ろ足を一本持って参上。時間的な制約で一頭まるまるは難しいですが、後ろ足一本でも大ボリュームで時間いっぱいいっぱいだそう・・・
いつものように、おなじみの伊藤先生の養生ことはじめから始まり、参加者のみなさんの健康チェックを行い、早速鹿肉さばきの開始!スケジュールがタイトなこともあり、作業をしながら鹿肉食のメリットや細見さんが猟師になったきっかけなどをお話ししていくという急ぎ足の展開に。
タイムスケジュールを考えて、時間をかけて下準備をしてきてくれた細見さん。ランチタイムまでのカウントダウンをしながら、鹿肉の捌き方を伝授していきます!
肉の部位を伊藤先生の体で説明するの図(笑)
島女子会の皆さんは手馴れた包丁さばきでてきぱき。普段から鹿肉をご近所でもらって捌いているのだそう。他の参加者の方々も、「仕事で動物の解剖をしている」という理由で上手に捌いているという驚きのキャリアを持つ方まで!すぐに夢中に。
講師の指導のもと美味しいお肉がどんどん骨から切り離されていきます。
本日のメニューは、まず、鹿肉を最もシンプルかつ贅沢に味わえる鹿ロースト。火を入れすぎないことがポイントで、講師に塩梅をききながら、クッキングストーブの上にオン。ここで使用しているのは、もっとも柔らかくて美味しい部分!
切り離されたお肉。さまざまな部位があり、それぞれに適した食べ方があります。
肉をぎりぎりまで削いだ骨も、食べられそうなので薪ストーブに入れてスペアリブにしてみましたよ!
もうひとつのメニューは、鹿カツ!油が少なくパサっとしているから、揚げ物にするとジューシーで食べやすくなるからです。
肉を捌くときに出る筋、筋膜。ふつうは廃棄なのですが、これも美味しく調理できるのかな?という出来心から、炒めてみることに。痛みの専門家である伊藤先生にとっては、筋膜は自分の研究分野のひとつ。筋膜についてのレクチャーが急遽始まったものの、料理に夢中の参加者にはあまり聞こえていない模様でした笑
そして出来上がった料理たち。鹿カツに、鹿ロースト!
この後はもちろん・・・おいしい鹿肉パーティが執り行われました・・・!!鹿肉の味わい深さにびっくりしながら、細見さんの猟師エピソードをはじめ、いろいろな話題に花が咲いていましたよ。
(残念ながら鹿スペアリブは焼きすぎ、筋膜はかなり固くてあまり美味しいといえるものにはなりませんでした^^;)
鹿は自然の山野草を食べ、野山を歩き回っているので、健康そのもので締まった赤身は滋養にあふれています。一方、店で売られている一般的な食肉は、狭い場所で身動きがあまり取れない状態で飼育され、農薬を使用しているやすい飼料を食べ、病気の予防のため投薬されたりしているため、「肉」とすれば柔らかく脂肪がたっぷりで美味しいけれども、決して安全とはいえないという視点を忘れてはいけません。
日常的に肉を食べている私たちですが、それらの肉がどのように生産されているのかをしっかり考える必要がありますね!
鹿肉を食べることは、全国的に鹿の頭数が増えすぎて山野草を食い荒らして山林の生態系を脅かしている現在の状態においては望ましいことで、各自治体で鹿猟や鹿肉消費の普及・促進が行われています。日本の山を助け、また自分の健康にも良い鹿肉を積極的に生活に取り入れてくださいね!そして、「自分で捌く」という技術もぜひ身につけてください。足一本をご近所さんが突然くれた、というのはよくある話ですからね♬
さて、お腹がいっぱいになった後は、からだづくり講座。今回のテーマは「体を整える。」
循環器、消化器、呼吸器などの活動を調整するために24時間絶えず働き続ける自律神経。体の活動時や昼間に活発になる交感神経と、安静時や夜に活発になる副交感神経、この2つのバランスが、過度なストレスや不規則な生活によって損なわれ、いわゆる「自律神経が乱れる」状態になり、さまざまな不調が体に起こる人が増えています。
自律神経の乱れで起こる症状には、不安や緊張、抑うつなどの心のトラブル、またそれにともなう吐き気、多汗、倦怠感、頭痛、肩こり、手足のしびれ、同期、不整脈、めまい、不眠などがあります。その他にも、神経性胃炎、過敏性腸症候群、メニエール病、過呼吸症候群なども自律神経の乱れが原因のものです。
さて、自律神経を調節するには、日光をよく浴びることや生活習慣や生活リズムを整えること、夜にスマホやPC、テレビなどのブルーライトのスクリーンを見ないこと、そして食事でビタミンAやビタミンB1,カルシウム、マグネシウム、亜鉛、食物繊維などを積極的に摂取することなどがあげられるほか、気軽に出来る方法としてツボ押しや呼吸法などのセルフケアがあります。
ひととおりの座学の後、ツボ押し、呼吸法、爪もみ、目の体操、ハンドマッサージなど、参加者のみなさんと一連のセルフケア手法をためしてみました。
一人でできるものもあれば、ペアにやってやるものも。人にやってもらうのは、気持ちいい!
ほどよくリラックスして、自律神経が整った?ころ、お開きの時間がやってきました。振り返りタイムのあと、「おきがる鍼灸」は本日も大繁盛。待っている間、参加者の人たちは講師の細見さんも交えてずっと長い間おだやかな談話を続けていましたよ!鹿肉から始まり、リラックスで終わった第8回はこれにて終了、次回は最終回です!