「養生」ワークショップ、開始!
美味しい水と空気、木々の緑に恵まれた美山で、いつか都会で疲れた人々の健康を支える取り組みがしたい・・・そんな長年の思いが今年、明治国際医療大学の伊藤和憲先生の監修・ご協力のもと、実現できることとなり、その記念すべき第一回目の朝をドキドキしながら迎えました。朝の8時から先生方が到着し、早速「おきがる鍼灸」のためのセッティングを開始。朝からの予約はなかったので、ここぞとばかりに体験したメンバーも朝からほっこり元気になっていました。
10時。参加者のみなさんが揃ったところで、ワークショップの開始!まずは伊藤先生から本ワークショップのねらいや健康についての認識を深めるためのレクチャー「養生ことはじめ」。「病気を薬や手術で治す対処療法型の現代医学ではなく、どのように生活を送れば病気にならないのかという考えを日本の風土、生活、思考の中で実践し体系化されたのが「養生」であり、それゆえに日本の原風景である田舎に身を投じ、田舎暮らしを通じて生活習慣の意味を知ることで、正しい健康感や習慣を見につけることができる。」その実践・体験の場所が、「MIYAMA森の湯治場」であり「美山を養生のメッカにしたい」という強い思いを話されました。
このワークショップシリーズでは、参加者一人一人が具体的なデータをもとに効果を実感するということを重要としています。まず、アクティビティに入る前に、精神の状態を示すアンケートや血圧・心拍数などの身体の状態を知るためのデータをとりました。
そして第一回目のアクティビティの開始!今回は近所の農家さんとともに作る夏野菜のカレーライスと付け合わせを「養生」のテーマのもとつくります。まずは今回のクッキング講師、島女子会(美山里山舎が拠点とする「島区」の女性のみなさん)のひとり規美子さんの畑へお邪魔し、夏野菜を収穫!黄金色の田んぼに囲まれた畑は、美山もっとも一般的な少量多品目のコンパクトながら賑わいのある畑。ナスやきゅうり、オクラ、ピーマン、トマトなどを両手にたっぷり抱えて。
会場にもどったら、採れたてピチピチの野菜を切って調理。すでに途中まで仕込んでいるカレーのトッピングとともに、付け合わせのおかずとなる一品を、3つに分けたチームそれぞれで考えて作ってもらいました。時間は30分ほど、塩、砂糖、酢、こしょう、みりん、酒、油、ゴマなどの調味料を合わせて色とりどりの華やかなお皿が並びました。合間に、この季節のお楽しみ、「赤紫蘇ジュース」も作りました。
調理が終わり、各チームからの発表タイム。「さっぱりしたものが食べたかった」「素材の味を生かしたかった」という理由で、シンプルな味付けのものが多かったです。酢を使ったものが多かったのは、酸っぱいものが疲労回復につながるから。ウリ科の「体を冷やす」といわれている野菜が夏に多いのも、体が欲する時期と重なっていますね。季節と体と農作物、全て良いようにつながっているということがわかりました。お待ちかねの食事タイムは、カレーの上にめいめいに好きなおかずを乗せて!みな美味しそうに召し上がっていました。
お腹がいっぱいになった午後は、伊藤先生と鍼灸大学のみなさんによる「からだづくり講座。」この講座は、昔ながらの経験から培われた「養生」と、現代で主流の科学的根拠から導かれたセルフマネージメントのどちらのアプローチも含めて、体を整える方法を学ぶもの。まず、病気におけるセルフケアは自分の身体そのものを理解することが重要だということ、「感情」と「感覚」でセルフケアの方法を「身心系(ヨガ・運動・森林浴など)と「心身系(アロマ・認知行動・呼吸など)」と切り分けて考えることなどを学んだあと、自分の体の状態を知る為のテストをいくつか行いました。地面をマーキングして、目を閉じて足踏みを数回。同じ場所に立っているか、移動しているかによって、体の歪みを見つけます。参加者の多くがマーキングから離れて移動してしまい、体の歪みを露呈するかたちに!
そのあと、森林内のゲルに会場を移し、体の歪みを整えるストレッチ。そして、自分で気軽にできる調節方法として、せんねん灸の使い方などを学びました。「今、血の流れが良くなった!」現代はあまり一般的ではなくなった「お灸を据える」という行為ですが、簡単にできるものもたくさんあり、灸を置く場所をしっかり理解することで、確実な効果があるということを体感しました。そして、風が通りぬける心地よい空気の中、もりだくさんの午後のアクティビティが終了。参加者全員の唾液、血圧、心拍数チェックを行いました。
最後に、30分の「振り返りタイム」。本日合わせて4回計測したデータをもとに、参加者それぞれに今後の健康維持のアドバイスを書いたチェック表が渡され、1日の流れと効果をおさらいしました。自分の体をデータで知ることで、参加者のみなさんも驚きと感動があったようです。午前中の講師で忙しくしていた島女子会のみなさんは午前こそ血圧が上がったものの、午後のアクティビティのあとは概ねリラックスして下がっていたようです。
プログラム終了後は、「おきがる鍼灸」と「五右衛門風呂の貸切体験」が盛況。みなゆったりとした表情で、「養生」をめいっぱい堪能してもらえたようです。初回のためどのような1日になるか朝には全く想像がつかなかったのですが、ひとつひとつの物事が全て見事に意味づけされて、「養生」として理解ができ、実際に体が元気になったことを確認してもらえる、一本筋のとおった催しとすることができたことに、うれしさを感じました。これも、明治国際医療大学のみなさまのおかげですね!さて、次回は「ヨガ」と「森林セラピー+苔玉づくり」という、動きの多いプログラムですが、「養生」の切り口からどのような1日となるでしょうか。参加申し込みはすでに定員に達しており、その様子はレポートでご報告という形になりますが、ぜひ、楽しみにしていてください。おきがる鍼灸と五右衛門風呂はまだ受付中ですので、よろしければこちらのみでもお申し込みお待ちして居ります!