11月26日、すっきりと晴れた晩秋の美山で、森の湯治場第4回目が開催されました。イベントいっぱいの秋、そして養生フェスから日が少なかったこともあり、少ない参加者人数でのアットホームな雰囲気の中でも開催となりました。
いつものように、まずは伊藤先生の「養生ことはじめ」から開始。美山の豊かな自然や生活文化を体験しながら「命を養う=養生」の考え方や日常生活への取り入れ方を学ぶことで、健康な心と体を実現していこうという「森の湯治場」のコンセプトや目的をしっかりと確認し、1日のアクティビティの意味づけを行う大事なオープニング。
体温や脈拍、血圧や唾液のチェックなどを行い、参加者のみなさんの健康状態を確認。アクティビティの前後に計測をすることによって、アクティビティの具体的な効果を数値で知ることができます。
今日の午前のプログラムは伊藤先生による「からだづくり講座③冬に向けて学ぶストレッチ」。ストレッチとは「伸ばす」「引っ張る」という意味であり、スポーツ分野やリハビリテーションの分野においては筋肉や腱組織の伸張法の総称として用いられている言葉。スポーツでは準備運動や運動後の整理運動として、リハビリでは硬くなった関節を動かしやすくするための治療手段として幅広く活用されています。近年では、企業における社員の身体管理や中高年を対象とした地域の健康増進活動の一環としてもストレッチが積極的に取り入れられるようになってきているそうです。
気軽にできるものではありますが、誤ったストレッチをすると筋肉の緊張を高めたり、筋組織を部分的に損傷してしまう危険も。安全で効果的に筋肉や腱組織を伸張するには、目的別のストレッチ方法を注意事項・効果を踏まえて慎重に実施することが大切!
それでは、いざストレッチの実践へ。まずはバランスチェックで自分の体の状態を確認・・・すると、意外と地元の女性たちはご高齢でもバランスが良く、最も若い大学生の参加者が一番アンバランスという結果!日常的に行う農作業などが、体のバランスを正常に保つ秘訣なのでしょうか?!
さて、バランスの状態がわかったら、状況改善のための様々なストレッチを!効果的なストレッチ方法の数々に、参加者の皆様すっきりとしたご様子。健康チェックを行った後は、お待ちかねの昼食です。
根菜たっぷりの鳥つくねの鍋に、自家製のもち米を使った具がたっぷりのおこわやサラダなど、旬を取り入れた滋味あふれる料理で適度におなかを満たしましょう!
食事の間は、講師も参加者もともに健康の話題に花が咲きます。地元の女性たちから聞く野菜作りや日々の料理の話は健康になるヒントがいっぱい。薪ストーブのぬくもりでリラックスした空気の中で参加者同士がゆったり交わす会話の中にある学びも、イベントの魅力のひとつですね!
昼食後の健康チェックを終え、午後のプログラム「森林セラピー②気候療法と紅葉の落ち葉アート」へ。
暖かい室内から出るとひんやりと秋の冷たい空気・・・。そう、この気候療法とは、自然の気候・環境による「ちょっと冷たい」刺激と適度な運動によって体を鍛えるというもの。もちろん、一度のトレッキングで効果がすぐ出るわけではありませんが、秋晴れの空と紅葉が鮮やかな山道を歩くことは体にとっても心にとっても良いこと!森の中は心身をリラックスさせる効果がたくさんあふれているのです。参加者みな、笑顔で雑談をしながらできたばかりの道を歩き、頂上に到達。
帰りの坂道はすこし足に負担がかかるものの、頂上までの上り下りで1時間半のトレッキングを楽しみながら終え、再び薪ストーブの燃える室内へ。暖かさに皆心身ともに緩みます・・・が。ここで後半のメインのアクティビティ「落ち葉アート」が待っていました。秋ならではの落ち葉を素材にして、落ち葉の様々な形や色に感覚を触発されながら、白い画用紙の上に一つの作品をつくる、というもの。何もルールがなく、何をしても良い・・・始めは皆どうしていいかわからずとまどっていたものの、だんだんと手を動かし始め、10分後には落ち葉をさまざまなものに見立ててどんどん自分の世界を表現し始めました。
ノリに乗ったころに、残念ながらタイムアップ!白い画用紙の上に生まれたそれぞれの物語を一人一人発表してもらいました。感覚でつくられたもの、深いストーリー性があるもの、真剣な問題意識を反映したもの・・・まさに十人十色の作品たち。落ち葉の鮮やかな色と相まってとても魅力的な作品群でした。発表後の先生の統括では、主に使われた色によってその時の自分の感情の動きがわかるというお話が。明るく自分らしく前進したいという気持ちのあらわれだという黄色が多かったのは、心理というよりたまたま黄色の落ち葉だらけだったという見方がありますが・・・笑
最後の体調チェックを終え、1日が終わった後は、皆楽しみにしている「おきがる鍼灸」をめいめい受けられていました。順番を待つ間、参加者の島女子会の皆さんがおやつに持ってきてくれた里山の味覚、柿とかき餅に舌鼓。盛りだくさんながらも、終始のんびりと楽しい空気につつまれた穏やかな1日となりました。